アダルトチルドレンからの回復~私は私でありたい : 旧ブログ

トラウマのせいか、運命のせいか?

元型的心理学の創始者ジェイムズ・ヒルマンは、トラウマ理論を批判し、「私たちの

人生を支配しているのは、子ども時代に何があったかではなく、痛ましい体験に

より傷つけられた心によるものという観点から理解するようにしむけているトラウマ

理論それ自体である」と述べています(『生きがい発見の心理学』諸富祥彦著)。



ヒルマンは、代わりに、私たちを超えた「何か」が向こうからやってきて、私たちの

魂を掴み、そして否応なくある「道」へと誘っていく。というとらえ方を提示している

のですが、これは、運命論になってしまっています。



つまり、すでに「運命」というものが定められていて、個々の人生は、決められた

シナリオに基づいているものだから、トラウマによるものではなく、用意されてい

たことといったとらえ方です。



また、論理療法のアルバート・エリスは、幼児期体験や過去の条件づけは、自分

の心理的な混乱の根本的な原因ではない。非論理的な考えを自分が未だに信じ

ているから。と述べ、過去の経験によって、人格が変革できないくらい固定される

ことはない。としています。

あくまでも、現在の自分自身の人生観が、自分を混乱させているというのです。



いずれも、過去の今に与える影響をあまりにも軽んじているとしか言えません。



人生のとらえ方として、ヒルマンのように「運命」といったものがあると仮定する

ことは、偶然で起こることではないのだから、そこからそのことがもつ意味をくみ

取ろうとはします。

そのことで、過去に絶望することなく、未来を作っていける姿勢ができます。



また、エリスのように過去の経験がどうあれ、今の自分の意味づけによって、不安

を軽減していくことも確かにできます。



しかし、現在の認知の歪み誤った信念は、トラウマの結果であることは明白で

あり、それが行為の偏りを生み、偏りの固定化、持続化が自我の変容生き方

のゆがみを招いているのは事実のことです。

非論理的な考えを未だに信じていること自体が、まさにトラウマの影響なのです



現状の生き辛さがトラウマではなく、運命であるならば、その解消のためには、

運命の転換をはからなければならないし、過去のことを過去のものとして切り離

せるためには、強靭な意志力が必要とされます。



過去の痛みが現在の自分に与えている影響によって、翻弄されているアダルト・

チルドレンにそれを求められるのでしょうか?



現状の生き辛さを誘引したトラウマを知ることは、歪められた自己の根拠を知る

ことであり、誤った信念の修正を可能にすることなのです。




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