解決支援者の現場日記

ひきこもり(不登校)~有害な救済とは?⑥

 
わが子がひきこもり、自身のことをあれこれやらなくなってくると、過度な世話やき行為

始まります。主に母親ですが。

これをイネーブリングといいます。

食事を部屋に運んだり、頼まれた買い物をしたり等々です。

一人暮らしのアパートに食事を運んでいるケースもあります。

直接的には母親が多いですが、もちろん父親の場合もあります。

父親は金銭的なことで間接的にイネーブリングをしてしまっています。
 



このイネーブリングは、もちろん自立を妨げます。

食事が運ばれてくるのは、ホテルのルームサービスと同じです。

「働かないと食っていけない」と常識的に促しても、ひきこもり者たちには通じません。

食っていけてるからです。

食事は三食用意され、汚れた衣服も常にキレイに洗濯され、メモに書いておけば、

買い物まで済ませてくれれば、自分で動く必要はなくなります。
 



イネーブリングは、共依存によるものです。

共依存は、親子で互いに依存しあう状態です。

なぜそうなるのか?

そこには、親子それぞれの愛着の問題があります。




親にとって、わが子からいつまでも頼られることは、親冥利につきるというものです。

ですから、世話をやくことで自分に頼らせようとしてしまうのです。

子どもは逆に、世話をしてもらうことで、それだけ大切にしてもらえている。

愛されているという実感を得られます。

親は必要とされることを必要とし、子どもは愛されることを必要としている。

これが共依存です。




ここには、互いの愛着欲求がそれだけ満たされていないことが背景にあります。

互いが相手から愛されたい、必要とされたいという意識が強まっているのです。
 
互いの需要と供給がマッチングし、共依存」の呪縛にはまります。

こうなると、互いが相手が離れる(自立していく)ことを、阻むようになるのです。
 
自立を願っているようで、実は無意識に手元から離れないようにしてしまっている

ことに気づかないかぎり、長期化が進行します。
 
(続く)





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