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解決支援者の現場日記 : 旧ブログ 家族問題: 2008年10月

トラウマティック・グロウス

当協会の支援法の最大の特徴は、自助力を養成することです。

そのためにも痛みからの学び(トラウマティック・グロウス)という視点を重要視しています。

親にとって、わが子に起こるアクシデントは、自分のこと以上に痛みを伴うものです。

いじめ、非行、家庭内暴力、不登校、ひきこもり、ニート。いずれも「なぜわが子なのか?」といった苦悩

を抱えます。身悶えするほどの悲しみです。

しかし、この痛みこそが自身の成長、自助力をそなえる糧になることがあるのです。

痛みから学ぶ姿勢があれば、その体験は大きな財産となります

実際にこれまで、当協会が支援してきた家庭では、親子の葛藤を全身全霊で乗り越えてきた家族の

間にそれまで以上の深い固い絆が生まれています。親子が真正面から向き合い、語り合うことで、

互いが見過ごしていたものに気づくことができ、互いが分かり合うことができるのです。

その光景は、心を揺さぶられる感動です。トラウマティック・グロウスの瞬間です。

先日あるテレビ番組で生まれながらの全盲の少年が、「目が見えなかったことが今では幸福だと

思えます」ということを両親に告げているのがありました。この言葉にどれだけこの両親は救われた

ことでしょう。幼いころに「なぜ僕はママの顔を見ることができないの?」と尋ねられ、言葉を失ったこと

もあったそうです。

なぜ「幸福だ」と思えたかと言うと、「目が見えなかったことで多くの人と出会い、多くの人に支え

られたから」と言っていました。

当協会へ通ってきているある青年も言いました。「ウツになってよかった。自分を振り返り、みつ

めることができたから」と。

現実から目をそらさず、自分の人生に責任をもった者だけが、幸福を手に入れられます

痛みからの学び実現のためには、「おかげさま」の精神で過信・慢心(驕り、高ぶり)を抑え、感謝

はしてもそこに甘んじることなく、完成を求めず、成長・上達を志すことです。

人生から問いかけられているものに気づき目覚めていくことで、痛みも恵みと受け止められるようにな

っていきます

『俺を捨てて、お蔭、おかで生きよ』

 

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家族援護士養成講座
https://www.interbrain.co.jp/course/category/family-aid/

 

【毎週月曜日無料相談会】

大野城市総合福祉センター 午前10時~正午 (要予約 0120-870-996)

詳細は https://www.interbrain.co.jp/counseling/ 

【熊本出張相談会】

10月31日 (要予約 0120-870-996)
熊本市青少年センター(熊本市新屋敷1-18-28)を使用させていただきます。
熊本市内近隣地域はご自宅までお伺いもできます。(交通費実費/熊本市役所からの距離による)

 

八代市厚生会館  10月30日 (要予約 0120-870-996)

相談料3千円

 

NPO法人地球家族エコロジー協会
福岡県大野城市つつじヶ丘6-4-21
https://www.interbrain.co.jp


家庭教育学級合同学習会

今日は、文科省の家庭教育支援基盤形成事業として地元大野城市で講演会が開催され、『子どもの

心の声聞いていますか?』をテーマに講師としてお話させていただきました。

平日の午前中にもかかわらず多数の参加者があり、地元のケーブルテレビの取材も入っていたよう

です。

核家族化や地域のコミュニティが希薄化している現在、家庭教育を地域で支えていく試みは大変有意

義なものと思います。

当協会もかねてより、不登校、ひきこもり、ニートなどの家庭問題支援を行っている中で、単なる躾教

育に偏らない家庭教育の実践が急務の課題であることを痛感しています。

と言いますのも、躾は「お行儀良く」といった見える部分に囚われがちです。児童虐待の親たちが、決

まって「躾のつもりでやりました」と言っているのでも分かります。ですから過度の躾はかえって危険を

伴います。

私が日頃思いますのは、躾は「挨拶・返事・後始末」ができるように育てていればそれで十分というこ

とです。

それよりも子どもたちの自尊感情自己信頼感を育てることの方がより重要です。

健全な自尊感情がそなわっていない子どもは、ストレスに対して非常に脆弱ですし、他者との関わりを

避けるようになります。確たる自分を持ち合わせない子どもは、見知られ不安さとられ不安といった

不安に怯え、人を遠ざけ自身を孤立化させるか、弱者を見つけ出し攻撃(イジメ)することで、自分の存

在感を保とうとします。

自尊感情、自己信頼感を育てるためには、否定しない、けなさない、脅かさない、褒める、認める、

感謝するということが必要です。それらが意識しなくてもできるようになるためには、「敬い」の姿勢を

もつことです。

価値観が多様化している現在、子育てに悩む親たちは沢山いますが、ともすると子育て論は、その

方法論に偏りがちです。子育てマニュアル本なども多くみられるようですが、方法論に囚われると

仏作って魂入れず」といった状況になってしまっています。

重要なのは、わが子と関わる姿勢・態度なのです。

わが子の存在を敬い、尊重する姿勢・態度があれば、わが子を大切に扱います。大切に扱うという

ことは、を促すということです。

「成長」を基準に考えれば、何を許し、何を許せないかが自ずと判断できます。

子どもに嫌われたくないからと、要求に応じるだけの態度は、決してわが子を大切にしているとは言え

ません。

子どもたちは、両親の姿勢・態度から常に安心を得たいと望んでいます

学校に行けなくなった時、いじめられた時、非行をした時、ひきこもった時、そういった際の両親の姿勢

・態度で、新たな傷を受けてしまっているケースも非常に多いのです。

子育てを通して、親もまた育っていかなければなりません。

 

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「よい子」が人を殺す(尾木直樹著)

先日芹沢俊介氏の「親殺し」(NTT出版)をご紹介しましたが、同じテーマを扱った教育評論家尾木直

樹氏による『「よい子」が人を殺す』(青灯社)も読んでみました。副題は~なぜ「家庭内殺人」「無

差別殺人が続発するのかです。

著書によると、殺人事件の半数近くが「家庭内殺人」であり、親殺しは、その26%を占めているとのこ

とです。子どもたちによる凶行の共通性を分析し、次の三点をあげています(要約)。

①おとなしく、真面目、勉強もできる「よい子

②親などから抑圧的な期待をかけられている

③進学や就職の時に大きな挫折体験をし「若者の社会的排除」を経験している

芹沢氏の「親殺し」もこの本も、各事件の青少年やその家族背景を詳しく述べられていますので、事件

にいたる経緯がよく見えたのですが、同時に、私がかねて相談を受ける家庭にとても酷似していること

に気づかされました。①②は不登校、ひきこもりの青少年たちにも共通しているものですし、③はひき

こもり・ニートの青年たちによくあることです。もちろんこれらの事件の中には、不登校経験者やひきこ

もり当事者もいますので、当然なのかも知れませんが。

しかし、決して誤解していただきたくないことは、不登校やひきこもりの青少年たちは、犯罪者予備軍

ではないということです。私が縁あって関わってきた多くの青少年たちは、犯罪を想起させるような子

どもたちではありませんでした。

ただ思うことは、家族の関わり方如何によっては、衝動的な凶行に導いてしまう可能性もあるんだと

いうことです。やはり、かねがね私自身述べていますように家族の有り様は重要なことであります。

実際にこれまで、親に限らず他の誰かを「ぶっ殺してやりたい!」といったことを口に出す青年もいまし

た。しかし、それが実際の行動につながらなかったのは、親の理解があったからです。子どもの抱え

る苦悩、痛みへの共感があったからです。事件に見られる親たちの態度には、全くといっていいほど

それがありません。

①の「よい子」というのは、あくまでも親、大人の目から見ての「よい子」です。つまり、親にとって都合

の「いい子」ということです。②の利己的で独善的な期待にさえ、懸命に応えようとした子どもたちです。

そうしなければ、その家では生き残っていけなかったからです。

芹沢氏は、親殺しに先行する子殺し(存在論的死)と表現しています。

ブログ「親殺し」https://www.interbrain.co.jp/blog/2008/10/ntt.phpでも述べたように、こういった事

件が起こってしまうような関わり方をしてしまっている親たちが増えてきているのが現実であれば、早

急な社会的対策をうっていかなければなりません。まさに阿鼻叫喚の地獄絵です。

当協会の支援方針では、不登校、ひきこもりなどは、「絆の病」ととらえています。

したがって、家族間の信頼関係の回復、絆の結びなおしによる解決をはかっていきます。

徹底して、子どもの痛みへの理解を進めていきます。

そのことにより、ひきこもり期間に関係なく、ほとんどの青少年たちが自らの意志で協会を訪れ、新た

なステップを踏み出していっているのです。

いまだわが子へのコントロール幻想から抜けきれず、挙句の果てには、精神病だから親の言う事を

聞けないんだとばかりに病人にしたてあげてはばからない親たちへ警鐘を鳴らし続けていかなければ

ならないことが私たちの社会的ミッションでもあります。

 

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家庭教育支援基盤形成事業
大野城市家庭教育学級合同学習会
『子どもの心の声を聞いていますか?』
 
講 師 中光雅紀
日 時 10月20日(月)9:45~12:00
場 所 大野城まどかぴあ 多目的ホール
加費   無料
定 員   200
主 催   大野城市教育委員会     大野城市家庭教育推進協議会
協 力   NPO法人チャイルドケアセンター大野城
申   込    NPO法人チャイルドケアセンター大野城
(問い合わせ) 大野城市白木原2-3-13
TEL 092-589-8688
 
 

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熊本市青少年センター(熊本市新屋敷1-18-28)を使用させていただきます。
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骨抜きの家庭教育

支援活動をしている中でよく感じられるのが、当事者やその家族が「変化」に対して順応することが、

なかなかできないということです。だからこそ、長期化してしまっているとも言えますが、その頑さは、

変化を起こさずして、変化(問題解決)を望む」といった表現で言い表せるような、全く矛盾した

状態です。

現状を改善するためであっても、そのために何か新たな事に取り組むことまではしたくないという

心境です。変化を起こすこともためらわれるのですが、そのことで望まざる結果も起こりかねない

ことが怖いのです。

傷つくことへの過度な怯えです。

支援者の介入により、それまでの家庭環境に変化が起き出すと、途端に改善の動きを阻む親御さん

がいます。あたかも問題解決を望まない動きを始めるのです。

また、当事者へのアプローチを促すとそれを拒む親御さんも少なくありません。慣れていないのです。

それほどかねてのコミュニケーションが分断されてしまっているのですが、それよりも一番大きな理由

は、親としてわが子をコントロールできない自身の無力さへの悲嘆を味わいたくないからです。

不登校・ひきこもり・ニートを抱える家庭の問題は、わが子の世話をやくことで、親としてのアイデン

ティティを維持でき、「頼られている」という精神的な充足感を得られる。これが親にとっては甘い蜜と

なってしまうことです。

当事者はというと、世話を受けることで、それまで味わうことが少なかった「愛されている」といった実感

を得られるという利点があり、また、世話をやかせるということで親をコントロールできる満足感が得ら

れます

これは、当事者にはこれまで、少なからず親からコントロールされてきたという思いがあり、その裏返し

です。

前回のブログで、親たちが今拠りどころを失っているという話をしました。バックボーン(精神的支柱)を

持てていないのです。一貫した判断基準、価値基準を持ち合わせていないために、変化に対して臨機

応変に対応できる柔軟性に欠けています。 

心療内科医の星野仁彦氏は著書『機能不全家族』(アートヴィレッジ)の中で、

日本人特有の心理「直視恐怖」は、日本人に無神論者が多く、概して確固とした宗教をもたないことも

関連しているのかもしれないと述べていますが、要は、生き方の哲学をもっていないことが、家族成長

の発達過程における様ざまな危機に対処できない状況を導いてしまっているのです。 

マンションや和室の無い家屋の増加にともない、大黒柱というものがあまり見られなくなってきました。

一家の大黒柱としての父親の存在感も希薄になってきている昨今、家庭に必要なものは、精神的大

です。家族の安全を保証する大屋根を支える心柱です。

精神的大黒柱を持たない家庭は、安定や安心を欠き、変化を怖れ、現状がどうあれそこに固執すると

いった生き方しか選択できなくなってしまうのです。

 

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『子どもの心の声を聞いていますか?』
 
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日 時 10月20日(月)9:45~12:00
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協 力   NPO法人チャイルドケアセンター大野城
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親殺し(NTT出版)

なんともショッキングなタイトルです。

著者は気鋭の評論家、芹沢俊介氏です。

私はこの中の論評ではなく、題材としてあげられている事件の発生時期を見て少し驚きました。

2004年11月 茨城県水戸市 19歳青年による両親殺害

2004年11月 茨城県土浦市 28歳青年による両親・姉殺害

2005年06月 東京都板橋区 15歳少年による両親殺害

2005年10月 大阪府枚方市 12歳少年による母親殺害

2005年10月 静岡県伊豆の国市(タリウム事件) 16歳少女による母親殺害未遂

2006年06月 奈良県磯城郡田原本町 16歳少年による継母子放火殺害

2006年08月 北海道稚内市 16歳少年による母親殺害(中学時代の友人に殺害依頼)

2007年05月 福島県会津若松市 17歳少年による母親殺害

2008年01月 18歳少年による母親弟妹殺害

私が以前ブログで「不登校の増加に思う」と題して書いたことがあります。
 https://www.interbrain.co.jp/blog/2008/08/post-38.php

2003年から2005年以降当事者家族、親たちの動きに大きな変化が現れ始めました。

何がどう変わったのかその原因になるものが分からないでいたのですが、これらの事件に何らかの

ヒントがあるのかも知れません。

ただ、これらの事件が起こったので、わが子に対して過度な刺激を加えないようになったという見方

よりも、こういった事件が起こってしまうような関わり方をしてしまっている親たちが増えてきたという

見方の方が、的を射てるのかも知れません。

2008年6月に秋葉原でおこった25歳の青年による無差別殺傷事件にも著書の中で触れられていま

すが、この青年の事件の背景にあるのも親子関係です。

今大人たち、親たちが拠りどころを失っているような気がします。

常に空虚感にさいなまれ、その穴埋めにわが子を利用している気がします

利用された子どもたちは、自身の人生を生きることができず、自己の存在価値を見いだせず、リセット

ボタンを押し続けているのかも知れません。生き直し、生れ直しをしたいのでしょう。

私の好きな釈尊の金言を紹介します。

おのれこそ おのれのよるべ

おのれをおきて 誰によるべぞ

よくととのえし おのれにこそ

まことえがたき よるべをぞえん

自身をよるべ(頼り)とできる人間に子どもたちを育てたいものです。

 

 

 

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