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解決支援者の現場日記 : 旧ブログ 家庭問題 22ページ目

矛盾の中の統一

今"家族"というものが、その本来の機能をはたしえなくなってきている

ようです。子どもたちの問題を考える時、先ず「受容」するということが

大切になって参ります。「受容」というのは、受け入れることと、引き受

けることです。つまり、目の前の現状をありのままに受け入れ、両目で

しっかり見て、そらさないということです。しかも見るのは、深く"観る"。

観察、洞察するということです。そして、我が子を通した"自分自身の

問題"として、自己の責任として引き受ける。無益な犯人探しに時を

費やすのではなく、互いが「問題解決の主体者は自分である」という

意識をしっかりともつということです。

長期の引きこもりのご家族のご相談を受けておりますと、長期化する

要因が見えて参ります。大きな要因としては、子どもの問題を通して、

家族の問題、自身の生き方の問題に行き当たるからです。

夫婦の問題、嫁姑の問題、親自身の生い立ちの問題、親の立場を

離れた個人としての生き方の問題などに向き合うことへの恐れが、

現状を「受容」することを阻んでしまいます。それは、それぞれが穏

やかな安寧な暮らしを望んでいるからでもあります。その問題に向

き合うことが、一時暮らしの中にゆらぎが起こることへの不安があ

るからです。しかし、ここで認識しておくことが必要なことがあります。

それは、今まさに目の前にあるわが子の不登校、引きこもり自体が、

家族それぞれが、その穏やかで安らげる安寧な暮らしを求めた経過

の中で、生じた"ぬくもりの争奪戦"の爪痕だということです。

問題に向き合うことでの一時のゆらぎは、まさに"一時"のことであり、

親と子が互いに現状を「受容」できるようになることで、共に求めた

安寧な暮らしが実現できるでしょう


ありのままを認めてほしい

私の講演の参加者の方の感想に多いのは、「もっと早く聞いておきたかった」

「わが家も人事ではない」といったものです。それは、不登校、引きこもりは、

特別な家庭で起こるものではなく、どこの家庭でも充分起こりうるということを

実例を通してお伝えしているからです。。なぜなら、今の家庭は子どもたちに

とって、安全な場所でありえず、また人格形成の範となるべく対象の不在が

生じているからです。自己同一化を仕損じ、極めて不安定な自己像をあらわ

しています。そのために過剰なまでに周囲の評価を気にし、見捨てられること

への怖れの感情を強くもっています。安全な場所ではないということは、"あり

のままの自分"をそのままでは受け入れられず、親の期待、要求にそえなけ

れば、愛情をもらえないといった〈条件つきの愛情〉の侵入の危険にさらされ

ているということなのです。私たち親は、本来の子どもの人格、存在を敬って

いるでしょうか。「愛して敬せざれば、是を獣畜する也」という言葉もあります。

両親が夫婦として互いに敬い、親が子を敬愛すれば、自然子どもたちは、

親を尊敬する子に育つでしょう。また他人への共感を示すことの出来る人間

に成長していくでしょう。いま社会から遁れ身を隠す子どもたちは、自己の

尊厳性を脅かされ、他を思いやれぬ、自尊心の欠落した状況にあります。

気づかない内に子どもたちの求めを否定し、無視してきた親たちに対し、

象徴的な態度、行為(不登校・引きこもり・暴力・非行など)によって、子ども

たちはシグナルを送ってきます。そのシグナルを読み取ることこそが、親が

親であり続けられる唯一の手だてとなるのでしょう。


ニートに思う

ニートという現象を考えたときに、役割認識の欠如ということがひとつの視点として

浮かび上がってきます。道徳性心理学の分野で、『役割取得能力』『社会的視点

取得能力』と言っているものがあります。これはそれぞれ、相手の立場に立って

考える能力、自他の欲求や考えを理解し、それらを関係づける能力のことです。

特に相手の立場に立って考えるという行為は、「思いやり」とも言えます。

自分の役割を全うし、相手の役割を手助けできることが、"お役に立つ"ということ

です。よく「人様に迷惑をかけない子に」ということを聞きますが、迷惑をかけさえ

しなければそれでよいのでしょうか。さらに一歩進んで、役に立つようにと何故

もっと積極的に考えられないのでしょうか。お役に立てるようにという教育が親から

与えられていないために、「思いやり」のない子供達が増えてきています。

「家庭は社会の縮図」とは言い古された感がありますが、家庭の中で、なんら

役割(家事労働)を与えられず育った子どもたちは、役割を担う(役に立つ)ことで

の充実感も体験せぬまま、自分の存在の確証を得られず、社会への参加を拒む

のでしょう。親から子へ「ありがとう」という機会は、何かをしてもらうことでしか作り

出せません。「ありがとう」の言葉は、相手の存在への絶対肯定の言葉です。

「ありがとう」のシャワーを浴びた子どもたちは、健全なアイデンティティ(自己存在

意義)を構築でき、自己開示、自己表現が出来るように育ちます。

お母さん、お父さん、最後に「ありがとう」を言ったのはいつですか?


精神医療からのひきこもり対策

あるひきこもり親の会主催の講演会に参加してきました。講師が精神科医だけに話の内容は、社会不安障害、パーソナリティー障害、統合失調症、適応障害などの病理性をもったひきこもりのケースの臨床例、WAIS-Ⅲの診断例でした。結果としてのこれらから生じる症状に対しての分析がありましたが、講演が終わって質問の最初が、「それでどうすればいいのでしょうか?」といったものでした。
まさに今ひきこもっているわが子に対して、その状態(症状?)から「病気なんです」と言われても、病識の無いわが子を精神病院に連れていくことは出来ません。結局は長期化を進行させる結果となります。仮に病理があったとしてもそこに行き着いた環境因としての親のそれまでの関わり方に言及して頂ければ、親が動くことでの改善法が見えていたかと思います。「原因は病気」ととらえれば治すには医者、薬としか手立てを考えませんので、結果親は動きません。「不登校」に関し、学校に行っていないことを問題視してはや30年以上。その視点から抜け出せず未だ減少の気配さえ見えず。ひきこもり問題も今の視点では、改善されることは残念ながらないでしょう。


回復への一歩一歩

うれしい便りが届きました。
『おかげ様で順調に回復しています。一日2時間のバイトとパソコン教室に通っています。子供の頃の辛かった時の話など私を追いかけるようにして話しかけてきます。先生が言われていたように、親子関係のやり直しのつもりで楽しみながら私も頑張っています』

長きにわたって親子間のコミュニケーションが取れていなかったこの家庭で、今確実にその絆の結び直しがはかられています。親がわが子の傷の痛みに向き合う姿勢さえ出来れば、必ず絆は戻ります。現象としての不登校やひきこもり、未就労ばかりを問題視していても決して事は解決されません。わが子ではなく、"わが家"が抱えている本質としての問題は何かを見すえて、目をそらさずに関わりあっていく親子だけが真の絆を回復していけるのです。いかなる時も親が逃げてはいかんのです!今年も一軒でも多く、温もりを回復していく家庭に関われていければと心新たにしています。


硫化水素自殺~死に急ぐ若者たち

連日、硫化水素による自殺の報道がされている。

記事によると今年に入ってからでも、2月29日24歳男性、3月27日27歳男性、

4月17日18歳男性、4月19日28歳男性、25日には都内で3名、北九州で

46歳の男性、26日には大分で31歳女性、古賀市で26歳男性、横浜では17歳

の男子高校生が自殺している。

今年1月ごろからインターネット上にその手口が紹介されるようになったと記さ

れているが、何の目的でその生成法を書き込むのだろう。また、若者達は何故

死に急ぐのだろうか。

これからの自分自身を考えた時に、明るい未来がそんなに想像できないのだろうか。

きっと未来自体を想像できないのだと思う。一年後、十年後の自分を想像すると

いった習慣がないのだと思う。将来を悲観するというよりも、未来なんてその時に

なってみないと分からないといった感じなんだろう。だから、目の前の辛い現実を

解決できた将来を想像できず、その場から逃げることを選択してしまうのだろう。

想像力の貧困さを考える時、いじめ問題にもいたる。これ以上痛めつければ死

んでしまう。ということすら想像できない。

何れの問題も、想像力の貧困さと生命の軽視がある。

背景には、生まれた時から豊かに物に囲まれ、あたりまえの世界観の中で生きて

いるからだろう。新たなる創造は、想像力から生まれる。あたりまえにある世界で

は、想像力をはたらかせる必要がない。

生命もまさに生まれた時にはすでにある。親から命を受け継いだという意識すら

無いのだろう。この若者たちが生命に気づくのは、自らが死を考えた時かも知れ

ない。しかもそれを苦痛を感じなければならない忌まわしいものと。

だから、その生命を抹消することで苦痛から逃れようと死に急ぐのだろう。


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