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解決支援者の現場日記 家族問題

ひきこもり・不登校~自尊心が壊れたあとに生まれる心の敵


ーーはじめにーー

ひきこもりの自己破壊的な行動は、
意志の弱さや甘えが原因ではありません。

多くの場合、
成長過程の親子関係で形成された
内的批判家(自分を責め続ける心の声)」
が原因となっています。

本記事では、
ひきこもりの心理構造と、
親が理解すべき心のメカニズムを
分かりやすく解説します。





なぜ、ひきこもり者たちは、

これほどまでに自己破壊的な行動

とってしまうのでしょうか。



その根源にあるのが、

心の中に形成された

「内的批判家」という存在です。



この内なる独裁者は、

成長過程における養育者との

関係性
によって形作られます。



自尊心自己信頼感を挫かれるような

親からの不適切な関わり(マルトリートメント)

により、無力感恥辱感が生じ、

自分の中に内的批判家という敵

作ってしまったのです。



本来、自己を守るべき盾であるはずの自尊心が

マルトリートメントによって破壊されると、

その空白に「自分を監視し、攻撃し続ける敵」

が居座ります。



さらに、

自己存在そのものに対する激しい恥の感情は、

皮肉なことに他者への過度な依存執着

招き寄せます。



自分を信じられないがゆえに、

自己を攻撃しながらも

誰かにしがみつかざるを得ないという、

深刻な矛盾が生じるのです。

(続く)





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ひきこもり・不登校~心で起きている"逆転現象"


ーーはじめにーー

「良くなること」が、なぜこんなにも苦しいのか。

ひきこもりの人の中には、
うまくいくほど、前向きになるどころか、
強い落ち込みや罪悪感に襲われる人がいます。

それは怠けでも、甘えでもありません。
過去の傷つきや、
「親の期待」「社会への恐れ」が重なり、
変わること自体が怖くなっているのです。

なぜ「動かない」のか。
なぜ「変わらない」ように見えるのか。
その行動の奥にある、
本人なりの必死な心のバランスを、
このブログで丁寧にひもといていきます。





ふつうは、何かがうまくいったり、

努力が報われたりすると、うれしくなり、

自信につながるものです。



けれど、ひきこもり者たちの心では、

その「当たり前」が

逆に働いていることがあります。 



何かがうまくいったり、

状況が少し良くなったりすると、

喜びを感じるどころか、

強い落ち込みや罪悪感、

胸が苦しくなるようなつらさが

出てくるのです。 



これまでの経験の中で、

心が傷つき、良くなること自体を

怖がるようになってしまった結果です。

それは、どんな経験なのでしょう。



何かの成果を出すと、

周囲からのさらなる期待がかけられ、

それに応えなければというプレッシャーが

重くのしかかってくるのです。



ある青年はこう言いました。

「親は勝手に期待し、勝手に裏切られたと嘆く」と。



「はえば立て、立てば歩めの親心」

という言葉もありますが、

この青年が言いたかったことは、

自分の知らないところで、

勝手に親の都合で自分に成果を期待し、

結果が期待外れだと、

あたかもこっちが悪いかのように、

恨みがましく嘆くということでした。

わが子への愛おしさからでしょうが、

親の期待というものは、本当に勝手なものです。



本人も「このままではいけない」と

分かっていないわけでも、

努力していないわけでもありません。



ですが、

良くなるとことへの怖れを抱く理由には、

もうひとつこういうこともあるのです。



基本、彼らは、

社会へ関わることへの強い怯えがあります。

ですから、自身が成長すれば、

当然社会へ入れない(入らないでいい)理由が

無くなります。

それは困るわけです。



彼らは、現状のままでしか、

未来を想像することができません。

つまり、成長すれば、

今出来ないでいることも出来るようになり、

今感じている怯えも感じなくなるからこそ、

社会へ普通に関われるようになるのですが、

社会への怯えがあまりにも強いがために、

その辺りが分からないでいるのです。



良くなることが苦しいのであれば、

たとえつらい毎日であっても、

今のまま変わらないほうが、

心は安定してしまうのです。 



そのため、外から見ると

「なぜ動かないのか」

「なぜ変わろうとしないのか」

と感じるかもしれません。



しかしそれは、

怠けやわがままではなく、

心が精一杯バランスを保とうと

している姿
なのです。

(続く)





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ひきこもり・不登校~支援者の無念④


二神氏は、『「信じて待つ、見守る」といった、

家族内で問題解決を図ろうとする

主流のアプローチが強く、ニュースタートの

考えは全体としては浸透しなかった 。

社会全体として家族が問題を抱え込む流れを

変えることができなかった』


と、その無念さを悲痛なおももちで

述べておられます。




社会全体の流れを変えること、

それはいくらなんでも難しすぎると思います。

それでなくても、

いわゆる「世間体」というものを優先させ、

どこにも頼らず、

いたずらに長期化させてしまっている

ケースが多いのですから。




「信じて待つ、見守る」 この言葉が

引きこもりの長期化を推し進めた戦犯の1つと、

二神氏は著書の中で述べていますが、

私はかねてよりこれを「悪魔のささやき」

と言っています。

事実、どれだけ多くの長期化を招いてしまったか。




さらには、「ひとつの生き方」「個性」だとか、

「安心してひきこもれる環境をつくる」

といった無責任な擁護派や、

「ひきこもりは解決できない」

というあきらめムードをつくってしまったこと。

その責任は重いと思います。




二神氏のような実績のある支援者(団体)が、

活動を継続できないような気運に

してしまったことを、

まがりなりにも支援者や研究者を名乗る者は、

重く受け止めなければならないと思います。




そもそもジャーナリストは、

支援(解決)者ではなく、情報発信者であり、

外側からの批評家です。

精神科医は、

受診に来た(来られる)相手しか診ておらず、

部屋の中で動けない状態から、社会へ

参加するまでずっと関わっていった

経験がありません。




二神氏が主張しているように、

「7割は自立できる」といったようなことは

信じようとせず、

自らが関わり解決していった経験のない

ジャーナリストや医者の言葉を

ありがたがっているのが不思議でなりません。




私もこういう経験があります。

行政主催の支援者会議で、

親の会の世話役の男性と、

地元の福祉行政の管理職の方と一緒になり、

アウトリーチ(訪問支援)も必要としない

当協会の支援法の実例を紹介したにも関わらず、

会議終了後、

何も尋ねてこられなかったことがあります。




きっと「まゆつば」とでも思ったのか(笑)、

固定観念で、

訪問も無く当事者が出てくるわけがないと

思ったのでしょう。




実際、今年も、10数年間のひきこもり者が、

訪問もせず自ら出向いてきたり、

就職を実現した者もいます。

当協会が行っている家族参画型の支援法

よるものです。




二神氏もきっと思っていると思いますが、

なぜ実績をあげている事実を見ようとしないのか、

「相談しても解決しないと思うから」と、

やる前からあきらめてしまうのか。




そう思わせてしまった自称支援者たちには、

猛省を促したいと思います。

先に『いつまで待つんですか?』のブログから

池上正樹氏の発言についても私の私見を

3回にわたって述べていますので、

是非ご購読頂ければ幸いです。




私は同じ支援者として、

解決できる現実を見てきているだけに、

二神氏の無念を伝え、

解決の実績を通して晴らしていきたい

と思っています。





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ひきこもり・不登校~支援者の無念③


「対話」については、前回述べましたが、

当事者家庭では非常に困難です。

というのは、

久しく、会話自体がなされていないことが

ほとんどだからです。




だからといって、コミュニケーションは重要です。

なぜなら親側の意思を伝えることも、

本人の意思を確認することも必須だからです。

ですから、コミュニケーションの回復

先ず行っていかなければなりません。




「対話」が重要と言われても、

それは当たり前のことですから、

「何を今さら」いや、「今ごろ」です。

ですが、オープンダイアローグの手法ではムリ

ですので、他の手段が必要なのです。




二神氏の言う、

「家族を開き他者の力を借りることが必要」は、

同意見ですが、

「引きこもりはもともと家族の問題ではなく

本人の社会力の問題なのですから、

本人を家から出して

他人や社会と交流させましょう」


というのは、同意できません。




前回も述べましたが、

もちろん本人の社会力の問題でもありますが、

なぜその社会力が育っていないのか

というところが、

実はここが家族の問題なのです。




また、いつも申しあげているように、

長期化は、親子の共同作業の結果ですから、

まさに、家族の問題なのです。




だからこそ、

家族が深く関わっていくことで解決に至るのです。

それを、単に

「本人を家から出して他人や社会と交流させて」

いけばいいかというと、

親子間の問題をそのままにしていては、

その他人や社会との交流(社会力)自体に

親との関係が本質的に関わっているのですから、

その後ひきこもりを再発しかねないのです。




親元にいれば、親は世話をやき、子どもは甘える。

だから、家から出す。

親がかりの一人暮らしで、そこでひきこもっている

ケースもあることから分かるように、

物理的に親子間の距離を取れば、

一人暮らしをさせれば、

ムクムクと自立心が出てくる

というわけではないのです。




親も子も、そもそもの現状を招いた意識が

変わらない限り、

解決には至らないでしょう。

そのために、他者の力が必要なのです。

(続く)





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ひきこもり・不登校~支援者の無念②


前回ご紹介した

『引きこもりの7割は自立できる』の中の記述から、

私なりの意見を述べてみましょう。




二神氏は、「問題を家族だけで抱え込むな」と、

言い続けていました。

これは当然です。




そもそも、ひきこもりに限らず、いかなる問題も、

それを解決するためには、

その問題を招いた(つくった)意識のまま、

解決をはかっても出来ようはずもありません。

これまでとは違う視点に立つ必要があるのです。




ひきこもり現象は、家庭で起こっているものです。

ですから、家族だけで抱え込んでいては、

解決は遠のく(長期化する)ばかりです。




ただ、ここで、二神氏とは

私は少し違う点があります。

最近、「オープンダイアローグ(対話)」という

ものがよく聞かれます。

これも斎藤環氏が提唱しておられますが、

はっきり言って、当事者家庭の実態を

よく把握されていないようです。




『安全・安心な家庭をつくるために』でも

述べましたが、ジャーナリストの池上正樹氏といい、

斎藤環氏といい、発言に影響力のある方々が、

現場の実態の認識が乏しいことが、

結果的に「有害な救済」を招いてしまっていること

に強い危機感を感じます。

二神氏の無念さもここにあるものと思われます。




当事者家庭は、親子で対話などほとんどできません。

この辺りは、二神氏も認識しておられ

「家族の話し合いから解決を目指すのは、

現実的ではない」
と述べています。




ただ、二神氏と違うのは、

二神氏は、ひきこもり問題は、

社会とうまく関われない「本人の社会力問題」

としています。




そうではあるのですが、私は、

「ではなぜ、その社会力が育っていないのか」

というところを問題視しており、

そこに家族(親)が深く関わっていることを

重要視しているのです。




ですから、

家族が関わっていかなければならないことは

当たり前のことですし、だからこそ、

動ける家族が関わって(動いて)いくことで、

解決に至るのです。




ただ、そのままの家族では、

先に申し上げたように無理です。

だから、二神氏も言うように、

家族を開いて他者の力を借りていく必要

あるのです。




「対話」についても述べてみたいと思いますが、

次回にしましょう。

(続く)





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ひきこもり・不登校~支援者の無念①


千葉県にある「ニュースタート」という支援団体が

支援活動を年内で終了することを知りました。

代表を務める二神能基氏が立ち上げ、

認定NPO法人として30年間活動してきた団体です。

〈レンタルお姉さん〉が自宅を訪問していく

という手法で、ドラマにもなったと記憶します。




活動終了を知った時には、正直驚きました。

非常に実績のある団体ですし、実は昨年、

二神氏の

『引きこもりの7割は自立できる』(新潮新書)を

買い求めた直後のことだったからです。




二神氏は、問題を家族だけで抱え込まず、

家族を開いて他者の力を借りて解決する


というアプローチを提唱してきました。

ここは、私どもと同じです。




しかし、精神科医の斎藤環氏

KHJ全国ひきこもり家族会が提唱する

「まずは家族の会話から」

「信じて待つ、見守る」といった、

家族内で問題解決を図ろうとする

主流のアプローチが強く、

ニュースタートの考えは

全体としては浸透しなかったと、

残念の意を表しています。

二神氏自らが、

動画で述べておられるものがありますので、

是非ご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=hrxiG5lHi_Y&t=13s





同じ支援者として活動してきた私としても、

二神氏の無念さは痛いように分かります。

活動終了の詳しい経緯は分かりませんが、

社会全体として家族が問題を抱え込む流れを

変えることができなかったため、

引きこもりの人数は146万人にまで

増加してしまったことが残念でならないと、

述懐しておられます。




二神氏の思いを察しながら、

私なりの意見をこれから述べてみたいと思います。

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ひきこもり・不登校~安全・安心な家庭をつくるために


引き続き私見を述べます。

池上正樹氏の発言はこうです。




『「待つ」って何もしないで待つわけじゃない。

親子での信頼関係が構築されるのは、

家庭の中が安全・安心な空気に変わった瞬間。

「ちょっとうちの親変わったな」って

(子が親に)今まで言えなかったことや、

嫌なことは嫌と言えるようになるっていう

瞬間なんですよね。

そういう何でも言える空気をどう作り出すかを

考えていくことが必要で、

ずっと待っているだけでいいという話では

全くないです。

変わることを求めるのではなく、

あくまで本人の意思や、本人が言葉にするのを

待つということです。

親として子どもの潜在力を信じるという

ことではないかと思っています』 





「何もしないで待つわけじゃない 」

とは仰っています。

しかし、「親として子どもの潜在力を信じる 」

これが危ない。




こう言われたら、当然親としては

信じない訳にはいかないですよね。

色んな窓口でも「お子さんを信じて」

と言われます。

親は、「信じて」この言葉に弱い。




潜在力は確かにあります。

多くの当事者たちの潜在力を私も見てきました。

ただし、潜在力はじっと待っていても

潜在したままなのです。




「家庭の中が安全・安心な空気に変わった瞬間 」

「何でも言える空気をどう作り出すかを考えていく 」

問題はここです。

具体的にこれをどうつくり出すかです。

そう簡単なことではありません。

実際、最も難しいところでしょう。




池上氏は、

『今、一緒に食事できて、一緒に話ができる、

この関係性は続けていくことが

大事なんじゃないか。

決してそれは

「待つ」ではないんじゃないかなと思います』 


と仰っていますが、

一緒に食事して話ができているような

当事者家庭はほとんどないでしょう。

10年以上も、互いに顔も見ていない、

声も聴いていないというケースも

私は支援の中で経験しています。

話はもとよりですが、先ず一緒の食事などは、

本人たちが一番避けたがることです。




池上氏の意見は、

全般的に実態の把握が弱いように感じます。




ひきこもり問題に長年携わってきた

ジャーナリストとして、当事者家族として、

発言力もある方ですので、

「何もしないで待つわけじゃない 」

とは言われても、親御さんたちは、

結果待ってしまうことになるでしょう。




今回、支援者として看過できないと思い

このブログを書いた理由がここです。

当事者たちの実態が見えなさ過ぎです。




いまだにこういった発言が繰り返されている

ことを見れば、

長期化が進むのもむべなるかなです。




家庭の中を安全・安心な空気に変えるためにも 、

わが子の潜在力を引き出すためにも、

必要なことは、

現象の理解と徹底した痛みへの寄り添いです。




ひきこもり現象は、

毎日継続して起こっていることなのです。

理解できるためには学びが必要です。

待っていられる余裕などないのです。





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ひきこもり・不登校~本人のペースを信じる?


前回お知らせしたニュース記事は、

読んで頂けたでしょうか。




では、池上正樹氏の回答に対して、

看過できないという部分について

私の意見を述べてみましょう。




最初にお断りしておきますが、

あくまでもこの記事に書かれている範囲に

対してであります。

私は直接池上氏にお会いして

お話を伺ったわけではありませんので、

取材記録されている内容に、

どれだけ池上氏の真意が表されているかは

分かりませんので、そのことを考慮したうえで

お読み頂けたら幸いです。




池上氏は、

「自分の状態を最も知っている本人のタイミングや

本人のペースを信じるってことじゃないかな

と思います。だから本人が自らの意思で、

自らの言葉で求めてくるまで

待つってことではないかなと思います」


と述べられていますが、

これでは確実に長期化します。




そもそも大半の当事者たちは、

自身に何が起こってしまっているのかさえ

理解できていません。

痛みを感じ、そこから不安怯え苦悩

抱えている状態です。




病気みたいなもので、

痛みや不調を感じるわけですが、

何の病気でどこが悪くなっているかは、

自分で分からないですよね。

だから医者に診てもらうわけです。




もちろん、何が(例えば「人」)怖いかという

怯えの対象は分かります。

ですが、なぜそこまでの怯えを感じてしまうのか

原因が分かっていません。




「自らの意思で」と言っても、本人は、

何が起こったのか、何をどうすればいいのかも

皆目分からないでいる状態です。

だから延々止まってしまっているのです。




家族会に参加されるような家庭は、

すでに数年は経っています。

長い場合は10年を超えています。

これまでの年月を考えれば、

自分の意思で動き出せないでいることは

歴然としています。




「自らの言葉で求めてくるまで待つ 」

とも仰っていますが、これまた当事者たちは、

自身の感情や意思を適切な言葉で伝えるのが

とても苦手です。もっと言うと、

感情鈍麻思考停止の状態です。




そんな状態のわが子が、

自ら動き出すのを待っていても

ただただ長期化するだけです。

結局、親のわが子のやる気への依存です。

「人頼りの姿勢」となります。

「待つ」=「動かない」となるのです。




「「私の子だから大丈夫」と思える信頼が、

本人には偉大なメッセージとして伝わり、

生きる糧にもなってくる」


と、池上氏は発言しておられますが、

この「私の子だから大丈夫」 は、

信頼と言うよりも「楽観性バイアス」です。

「うちの子にかぎって」と同じです。

なんの根拠もありません。

長年のわが子の日々の生活ぶりを見て、

真からそう信じられるでしょうか?




池上氏の主張は、

「自分の状態を最も知っている本人」

を前提にしてしまっていることでの過誤です。 

これだと、どうしても本人頼りになってしまい、

親は待つしかなくなるのです。

実際は、本人は知っている(分かっている)

わけではないのです。





「待つのは何もしないで待つわけじゃない」とは、

池上氏も仰っていますが、

それについても次回具体的に述べてみましょう。

(続く)





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ひきこもり・不登校~魔法のメガネをかけて見えてくるもの


前回、当協会の支援法が、

「愛着アプローチ」であることを述べましたが、

はからずも支援においての視点が、トラウマの理解

という角度からのTIC(Trauma-Informed Care)

というものであったということも知りました。




「トラウマインフォームドケア」というアプローチ法は、

トラウマの特徴を理解しながら関わっていくアプローチ

で、行動の背景にある“見えていないこと”を、

トラウマの「メガネ」“見える化”するもので、

問題行動として見るのではなく、こころのケガの影響

として理解していくものです。
(野坂祐子著「トラウマインフォームドケア」 )




私は、当事者と関わっている中で、

彼ら、彼女らのストレスや欲求不満に対しての耐える力

その脆弱性に、驚きと同時に疑問を感じていました。

敏感、繊細と言えば聞こえはいいですが、

「あまりにも弱すぎる、なぜだろう?」と思っていました。




周囲からは、「考え過ぎよぉ」なんて言われるばかりで、

ぬぐいきれない不安に、さらに落胆してしまうような

状態でした。




その疑問を解いてくれたのが、

「家族内トラウマ」という概念です。

これを知ったきっかけが少し面白いものでした。




精神科医の斎藤環(たまき)氏が、ひきこもりに関する本

「社会的ひきこもり」(PHP新書)を出版したということを

聞き、書店に買い求めに行ったのですが、

精神科医の斎藤何某というあやふやな記憶だけで行った

ために、他の著書を間違えて購入してしまったのです。




その著者は、精神科医の斎藤学(さとる)氏でした。

同じ精神科医の斎藤さんでしたので、

うっかり間違ってしまったわけです(笑)。

しかし、これが私にとっては正解だったのです。




斎藤学氏は、家族機能研究所の代表であり、

アディクション(嗜癖)治療の第一人者です。

氏の著書から、家族内トラウマアダルトチルドレン

依存症などの知見を得られ、抱えていた疑問が

スッキリと解けていったのです。




この「現場日記」では今、ポツポツと

これまでの支援の歴史を振り返っておりますので、


しばらく内容はそれぞれ次回へ続いてまいります。





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ひきこもり・不登校~愛着の連鎖に気づくことが、回復の第一歩


愛着の問題は、その影響力の大きさです。

精神科医の岡田尊司氏は、著書の中でも

「幼児期の愛着パターンは、持続性があり、

わずか1歳の時の愛着の安定性は、

成人しても7割の人でそのまま続いている」


と述べています。




実際、私が当事者たちからの話を聞くと、

不登校やひきこもりを始めた直前の出来事は、

あくまでもきっかけにしか過ぎず、

本質的な原因は、ずっとさかのぼるのです。

個人差はありますが、ほとんど幼少期からの体験です。




また、母親と一緒にお子さんとの関りを

振り返っている最中に、母親自身が、

自分自身と親とのことを思い出し、

生き辛さを抱えてきたことや、

わが子への関わり方の原因に気づき、

涙する場面もありました。




親御さん自身が、不安定な愛着の問題

抱えていることが少なくないのです。

このことからも、いかに愛着の問題が、

持続的に影響を与えるかがお分かりになる

だろうことと思います。

親自身の愛着の問題が、時を経て、

子育てに反映するということです。




岡田尊司氏 は、支援者が臨時の安全基地となり、

子どもが本音を言える場を提供し、

子どもの安定をはかり、

親には、抱えているネガティブな感情や

心の負荷を和らげ、子どもに対する有効な関わり方、

つまり子どもの安全基地になる関わり方

トレーニングしていくことを「愛着アプローチ」

として、その有効性を説いています。




私が当事者の声から構築してきた支援法が、

まさにこの「愛着アプローチ」であったことを知り、

これまでの実績の理論的裏付けが得られた気がして、

当時「わが意を得たり」と自信につながったことが

思い出されます。




岡田尊司氏 は、試行錯誤の末、

「愛着という観点を早い段階から持ち込み、

その観点からその人に起きていることを理解し、

自分が知らず知らず行ってしまう反応の正体を

認識することが、その人の反応を変えるのに

役立つと言うことが分かった」
とも述べています。




私はかねがね、

学校に行っていない、働いていない、

外出しないが問題ではない。

重要なことは、

なぜそれらができなくなってしまっているか、

その原因を知ることと申していますが、

その理由は同じです。

原因(反応の正体 )の理解が深まるほどに、

痛みへの寄りそいができるようになるのです。




参考図書『愛着アプローチ』医学モデルを超える新しい回復法
岡田尊司氏 著(精神科医)





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