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解決支援者の現場日記 時事問題
ひきこもり・不登校~無用な犯人捜し①
不登校やひきこもりの増加で、親たちが疲弊しているといった内容の記事がよく見られるように
なりました。
その中で、「自分を責めた」という母親たちが約7割もいるといった追い詰められた親たちの
現状も挙げられていました。
長期にわたりわが子が登校しなくなったり、部屋に閉じこもっていれば、当然困惑するばかりか、
苛立ちや抑うつも続きます。
子の養育の結果(育てあげる)を誇りとする親にとっては、耐え難い苦痛です。
責めてしまうのも自然な流れなのかも知れません。
こういった親たちの状況に対して、ある記事の中の親たちに向けられた支援者の言葉に
「あなたは悪くない」
「悪いのは、多様性を認めない社会であり、学校に行かない選択肢を認めない社会。
社会が変わっていく必要があります」
というものがありました。
こういった発言はまま聞かれますが、ここには誤解を招きかねない大きな考え違いがあります。
支援者自身が二者択一思考になっていて、「悪いか悪くないか」「責めるか責めないか」
「Aは悪くない。他が悪い」といった多様な視点を欠いた極端な見方になってしまっています。
この辺りについて話してみましょう。
(続く)
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2023年12月15日 07:52
ひきこもり・不登校~成長の可能性への信頼②
前号の新聞記事に揚げられていた方の意見の中にもあったのですが、メディアで報道される記事には
これまでも「社会が理解し容認すべき」と言った主張が目立ちます。
就労ありきの支援が適切ではないということは、ひきこもりの実態が見えていれば最初から分かり
きったことですから、今さらという感もありますが、もちろん社会、周囲(家族)の理解は必要なの
ですが、それより問題は、環境(社会)が自分に合わせて(分かって)くれるべきだという考え方です。
問題解決のための前提は、環境は自分の都合に合わせて自然と変わってはくれないということです。
この記事の中でも、「無理ならゆっくり休んで次を探せばいい。そんな支援こそ、苦しむ人を
つまずきから立ち直らせ、社会参加を促すのでは」と、語られていますが、ゆっくり休ませること
よりも、無理ではなくそれが出来る状態に育成してあげること、つまずきから立ち直る方法を身に
備えさせる支援こそ必要なのです。
環境に振り回されず、流されず、環境に自らはたらきかけていく主体性がより良く生きていくため
には欠かせません。
「社会が変わるべき」と言った論調の報道では、出来ないままの状態に合わせてあげるべきといった
意味あいが強く、当事者たちが成長してそれを克服していくといった視点が全く欠けています。
つまりひきこもりは、社会的弱者のままといった認識です。
だからこそ、簡単な作業からさせて、人にも少しずつ慣れさせていくという支援にしかならないのです。
そして、『ただ、社会の中にいてもいいんだ』と感じられる支援といった極端で、無責任な発想に
なってしまいます。
(続く)
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2023年8月12日 06:39
ひきこもり・不登校~最も求められる支援
2022年10月に文部科学省から発表された2021年の小中学生の不登校児童生徒数は、24万4940人で
9年連続増加で過去最多ということです。
この数字は、さらなるひきこもりの増加を予感させます。
これらの現象を生み出す社会背景から見えてくるものは、便利で誘惑の多い社会では自律心や自制心が
要求されるということです。
自己を制御できなければ、目先の快楽に溺れ利己的になり、自分がより良く生きていくために何が
必要かを判断することもできなくなります。
ひきこもり者たちに共通してあるのは、自尊感情の欠如です。
「求められることはあるのだろうか?」
「ここにいていいのだろうか?」
「生きる意味はあるのだろうか?」
といった疑問が常にあります。
そうあると「拒否感受性」が強まります。
「拒否感受性」とは、「他者が自分を拒否するのではないかと予想したり、些細な行動から拒否された
と受け止め、過剰反応したりするような傾向のこと」です。
このような低い自尊感情のまま社会へ入れば、再び傷つき体験をしてしまうでしょう。
「生きていくことへの覚悟」ができるためにも、〈より良くいきていく支援〉〈生きる意味への支援〉
が求められるのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2023年7月 7日 06:43
ひきこもり・不登校~命運を分ける前提①
内閣府から「ひきこもり」の実態調査の結果が令和5年3月に発表されました。
15歳から64歳までで推計146万人。
先の平成30年度の調査では、40歳から64歳までの中高年のひきこもりが、61.3万人で、その半数
以上が40歳以上と報告され、もはや若者特有の問題ではないことが、明らかとされました。
こういった結果から、中高年のひきこもりがクローズアップされたことで、より問題が社会的要因論
へスライドしてしまっている感があります。
労働問題に象徴される社会構造の歪みを持ち出されれば、当然対策として労働環境の整備や偏見・
差別などのひきこもり排除論を無くそうといった動きになってしまいます。
原因と解決策を考えるとき、どこを起点とするのかしだいで、その後が随分変わってしまいます。
どこに起点を置くのかが、そのことに於いての「前提」となるのです。
問題を考えていく前提が混乱していたり、家族で解決案の起点が共有されていなかったりすれば、
事態はより複雑化するばかりです。
(続く)
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2023年6月24日 06:28
ひきこもり・不登校~価値観の転換
ものごとを実行していくということは、価値観と行動を時間とともに変化させるということです。
事態に対しての姿勢・態度を変えるには、価値観を変えていく必要があります。
価値観が変われば視点が変わります。見えるものが違ってくるのです。
見えていなかったものが見えてくるということです。
人は行動する時に、必ず無意識に自分なりの仮説(こうすればこうなる)に基づいて行動します。
この仮説を生み出すのが自己の価値観です。
わが子の在りようは、両親の価値観の総和です。
「育てたように子は育つ」です。
現状を改善するための手立てを実行していくためにも、価値観の見直しが必要です。
「育てる」という側面での価値観のひとつを提案するとすれば、「自己都合を優先させない」
ということです。
変えられるものを活かして、変えられないものから受ける影響を変えることこそが人生の妙味、
醍醐味です。
その二つを見分ける智恵を養いましょう。
「8050問題」を受け、社会の偏見・差別をなくすべきだという意見が見受けられますが、そうではなく、
他者の評価に対して、どういう態度で向き合い、自身がやるべきことにどういう姿勢で臨むかは、
自分の意思で自由に選択できるのですから、社会に責任転嫁せず、主体的に自分を変えていけば
良いのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2023年5月20日 06:39
ひきこもり・不登校~「8050問題」に至るわけ
不登校やひきこもりが、改善しないまま長期化してしまうのは何故でしょう。
親は最初期に、なんとかわが子を動かそうとし働きかけるも、反発され挫折し、失敗に終わると、
今度は周囲に知られることを避け、状況を取り繕うようになります。
「部屋の中で何を考えているのだろう」と部屋の中のわが子の状態に意識が向き、そこに囚われが
生じます。
ひきこもりは、自分を蔑ろにする〈緩慢な自傷行為〉とも言えます。
当然、行く末を思い、心配を募らせていきます。
そうなると、わが子のと言うよりも、自分自身の不安な気持ちを払拭するために、本人が取るべき
責任の肩代わりをし始めたり、世間に知られることを恥じこっそりと、しでかした後の後始末を
しようとします。
本人が現実から逃避することを家族が可能にしている限り、自分に問題があることを否認し続け、
助けの必要性を否定し続けることになります。
思うように取り繕えずその状態が続けば、怒りも出てきます。
平常を装おうと、「いつか気づくはず」と自分に言い聞かせ、「家の事を手伝ってくれているし」
「頼まれごともしてくれているし」「外出するときだってあるし」と、現実に気づいていることを
隠し、本当は自分がどう感じているかを誤魔化し、否認します。
否認は、現実と争うことです。
争えば現実を敵にまわし、事態の好転の可能性など信じられず、一切のはたらきかけを放棄します。
何もしないということは、その状態に屈服し、ただ打ちのめされているだけです。
そこに主体性はありません。
これが、「8050問題」を生じさせている真の原因です。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2023年3月 3日 06:29
ひきこもり・不登校~社会の変化を待つ?①
ひきこもりは一個人や一家庭の問題ではなく、社会が生み出した問題であるという主張も聞こえます。
特に「8050問題」が叫ばれ、今や親が他界しても死亡届すら出せず死体遺棄で逮捕されてしまう、
昔の時代劇のナレーションにあった「死して屍拾う者無し」という様相を呈している現状や、
終身雇用や年功序列もなくなり、リストラや非正規雇用の増大、派遣切りといった雇用不安を背景に、
確かに不安定な社会が、逃避としてのひきこもりを生じさせているかのようです。
では、これらが原因とすれば、解消していくためには社会の変革を待たなければならないので
しょうか?
当事者家庭の親たちが世間体を回避するために事態を放置した結果、長期化が進んでいる。
したがって、社会が多様な生き方を認め偏見を無くすことで、相談に出向きやすくなり解決が
早くなる。といった意見もあります。
これもまた、世間の偏見がそんなに簡単に無くなるものでしょうか?
(続く)
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2023年2月24日 06:34
ひきこもり・不登校~「8050問題」は防げる?③
親が解決のための行動が取れない理由は何でしょうか?
対外的には、いわゆる世間体です。
ある全国的組織の家族会の創設者(故人)は、「病気と思えば世間体はかわせる」と言っていましたが、
人格障害、社交不安障害、発達障害と、次から次へと病を出してきましたが、組織が大きくなるばかり
で、実情は解決どころか「8050問題」へと発展してきました。
世間体をかわすのではなく、世間の未熟さからの歪んだ偏見を、意に介さないでいられる自分を
構築することが重要です。
内に対しては、わが子の嫌がる顔や反発を恐れてしまっていないでしょうか。
これは、親自身が傷、トラウマを抱えていることが多いようです。
わが子から頼られたい、必要とされたいという思い(傷)から、世話をやくことで頼らせるように
コントロールします。
一方で、子どもは「愛されたい」という思い(傷)から、愛されている実感を得たく、世話をやかせる
ことで親をコントロールします。
これが「共依存」という呪縛です。
互いの求めが一致し、抜き差しならぬ関係をつくってしまい、親離れ、子離れといった互いの自立を
妨げてしまうのです。
では、親自身が抱えているトラウマとは何でしょうか?
これもまた、生い立ちの中で受けてきた自己信頼、自尊心のゆらぎです。
自尊心にゆらぎがあると、他者をコントロールすることでそれを支えようとします。
わが子から背を向けられることで、その傷ついた自尊心を今また大きく揺さぶられてしまって
いるのです。
これらのことから、解決のために今何が最も求められるかが見えてくると思います。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2022年2月18日 07:24
ひきこもり・不登校~「8050問題」は防げる?②
動ける人が動く。
これが基本です。
なぜ長くなってしまっているか。
親からの声で多いのは、
「いつか動き出すと思っていた」
「どうしていいのか分からなかった」
「親が言っても聞かない」
等です。
「いつか動き出すと思っていた」
これはせいぜいひと月です。
理由次第ですが、打ち明けないことがほとんどですから、理由も分からないところで「いつか…」は、
全く根拠がありません。
どうしていいのか分からなければ訪ねることです。
「求めよさらば与えられん、尋ねよさらば見出せん、叩けよさらば開かれん」
という言葉がありますね。
相談窓口や学習会、家族会、書籍やインターネットでも構いません。
答えを見出せるまで、訪ね歩いて門を叩くことです。
労を惜しまない。
「言っても聞かない」に関しては、支援が必要だということです。
言って動くなら支援は必要ありません。
もとより長期化しません。
「親に反発します」それが支援が必要という意味です。
親が言って聞かないのであれば別の方法を考えなければなりませんし、そもそもなぜ聞かなくなって
しまっているかです。
「何度言っても聞きません」と仰いますが、何度ではなく、なんと言っておられますか?
「いい加減バイトでもしなさい!」では動きません。
当協会では、「言っても聞かない」と言っていたその親御さんに言ってもらって、本人に働きかけて
もらっています。
極力自宅訪問はしません。
本人のテリトリーだからです。
親御さんには、ひきこもりという現象の理解を徹底してもらいます。
理解が深まれば、自ずと「なんと」声をかけてあげれば良いのかが分かってきます。
わが子の気持ちに寄り添うことが出来てくるのです。
安心感が出てくることで本人自身で動き出せるようになります。
だから訪問が必要ないのです。
さて、述べたようにいずれも“行動”が必要だということですね。
ではなぜ、その行動が取れていないのでしょうか?
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2022年2月16日 07:23
ひきこもり・不登校~「8050問題」は防げる?①
「8050問題」が取り沙汰されるようになり、どうやったら防げるのかといったことを尋ねられる
ことが度々あります。
この質問の背景には、ほとんど「なぜこんなに長くひきこもってしまうのか?」といった疑問が
あります。
10年、20年、30年もの長い間、家の中だけに居ることが逆になぜできるのかと、不思議でしょうが
ないのです。
コロナ禍において、国民の多くは、外出自粛によりかなりのストレスがたまっています。
早く出かけたい、人と会いたいと願っているような状況ですから、これだけ長きに渡って社会生活
を送らないでいられることが、到底理解できないのです。
もっともなことです。
ですが、長期化の理由はいたって単純です。
ひきこもり者たちは、日毎に社会(人)への恐怖感を募らせています。
例えば、これまで生き慣れた場所に何らかの事情で足が遠のいていた場合、久方ぶりに出向く
となると、誰しも抵抗を感じますよね。
それが10数年、数十年に及べば、そりゃあますます行き辛くなるのは自然です。
つまり、長期化は、ひきこもり者本人は日増しに抵抗感が強くなっていくわけですから、そうさせ
ないためには、家族(親)が適切な対応をしていくしかないのです。
つまり、ひきこもってしまったことは本人に起因する問題ですが、継続、長期化はほぼ親の問題
なのです。
もちろん、いずれも本人だけ、親だけといったことではありません。
0か100ではありませんから。
「どちらが悪い」といったことではないのです。
その発想自体も、ひきこもり現象の発生に大きく影響している一因です。
「誰が問題解決の主体者か?」です。
長期化は、「本人が気づいて、やる気を出さなければどうにもできない」と考えていれば、解決の
見通しはたたないでしょう。
しかし、実際は先に述べたように親の問題、親が主体者ですから、充分解決の望みがもてるわけです。
なぜなら親は動けるのですから。
ではなぜ、これほど長期化が進行しているのでしょうか?
(続く)
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2022年2月14日 06:45