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解決支援者の現場日記 : 旧ブログ トラウマ: 2008年5月

矛盾の中の統一

今"家族"というものが、その本来の機能をはたしえなくなってきている

ようです。子どもたちの問題を考える時、先ず「受容」するということが

大切になって参ります。「受容」というのは、受け入れることと、引き受

けることです。つまり、目の前の現状をありのままに受け入れ、両目で

しっかり見て、そらさないということです。しかも見るのは、深く"観る"。

観察、洞察するということです。そして、我が子を通した"自分自身の

問題"として、自己の責任として引き受ける。無益な犯人探しに時を

費やすのではなく、互いが「問題解決の主体者は自分である」という

意識をしっかりともつということです。

長期の引きこもりのご家族のご相談を受けておりますと、長期化する

要因が見えて参ります。大きな要因としては、子どもの問題を通して、

家族の問題、自身の生き方の問題に行き当たるからです。

夫婦の問題、嫁姑の問題、親自身の生い立ちの問題、親の立場を

離れた個人としての生き方の問題などに向き合うことへの恐れが、

現状を「受容」することを阻んでしまいます。それは、それぞれが穏

やかな安寧な暮らしを望んでいるからでもあります。その問題に向

き合うことが、一時暮らしの中にゆらぎが起こることへの不安があ

るからです。しかし、ここで認識しておくことが必要なことがあります。

それは、今まさに目の前にあるわが子の不登校、引きこもり自体が、

家族それぞれが、その穏やかで安らげる安寧な暮らしを求めた経過

の中で、生じた"ぬくもりの争奪戦"の爪痕だということです。

問題に向き合うことでの一時のゆらぎは、まさに"一時"のことであり、

親と子が互いに現状を「受容」できるようになることで、共に求めた

安寧な暮らしが実現できるでしょう


ありのままを認めてほしい

私の講演の参加者の方の感想に多いのは、「もっと早く聞いておきたかった」

「わが家も人事ではない」といったものです。それは、不登校、引きこもりは、

特別な家庭で起こるものではなく、どこの家庭でも充分起こりうるということを

実例を通してお伝えしているからです。。なぜなら、今の家庭は子どもたちに

とって、安全な場所でありえず、また人格形成の範となるべく対象の不在が

生じているからです。自己同一化を仕損じ、極めて不安定な自己像をあらわ

しています。そのために過剰なまでに周囲の評価を気にし、見捨てられること

への怖れの感情を強くもっています。安全な場所ではないということは、"あり

のままの自分"をそのままでは受け入れられず、親の期待、要求にそえなけ

れば、愛情をもらえないといった〈条件つきの愛情〉の侵入の危険にさらされ

ているということなのです。私たち親は、本来の子どもの人格、存在を敬って

いるでしょうか。「愛して敬せざれば、是を獣畜する也」という言葉もあります。

両親が夫婦として互いに敬い、親が子を敬愛すれば、自然子どもたちは、

親を尊敬する子に育つでしょう。また他人への共感を示すことの出来る人間

に成長していくでしょう。いま社会から遁れ身を隠す子どもたちは、自己の

尊厳性を脅かされ、他を思いやれぬ、自尊心の欠落した状況にあります。

気づかない内に子どもたちの求めを否定し、無視してきた親たちに対し、

象徴的な態度、行為(不登校・引きこもり・暴力・非行など)によって、子ども

たちはシグナルを送ってきます。そのシグナルを読み取ることこそが、親が

親であり続けられる唯一の手だてとなるのでしょう。


精神医療からのひきこもり対策

あるひきこもり親の会主催の講演会に参加してきました。講師が精神科医だけに話の内容は、社会不安障害、パーソナリティー障害、統合失調症、適応障害などの病理性をもったひきこもりのケースの臨床例、WAIS-Ⅲの診断例でした。結果としてのこれらから生じる症状に対しての分析がありましたが、講演が終わって質問の最初が、「それでどうすればいいのでしょうか?」といったものでした。
まさに今ひきこもっているわが子に対して、その状態(症状?)から「病気なんです」と言われても、病識の無いわが子を精神病院に連れていくことは出来ません。結局は長期化を進行させる結果となります。仮に病理があったとしてもそこに行き着いた環境因としての親のそれまでの関わり方に言及して頂ければ、親が動くことでの改善法が見えていたかと思います。「原因は病気」ととらえれば治すには医者、薬としか手立てを考えませんので、結果親は動きません。「不登校」に関し、学校に行っていないことを問題視してはや30年以上。その視点から抜け出せず未だ減少の気配さえ見えず。ひきこもり問題も今の視点では、改善されることは残念ながらないでしょう。


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